ガラパゴス諸島現地情報 (掲載する写真はイメージです)

 エクアドル本土から太平洋を隔てておよそ 1000km西の赤道直下に点在するガラパゴス諸島はおよそ600万年前の海底火山の活動によって最初は現在の東部地区が誕生しました。その後、大きく分けて2回の噴火で中央部、その後西部が生まれ、現在の諸島が形成されました。
ガラパゴス諸島は太平洋上に浮かぶ大小の島々と岩礁で成り立っていて、主だった島々は13の大きな島と小さな島々ですが、名前のついている島と岩礁の合計は234島確認されています。陸地面積のおよそ97%がエクアドル共和国の国立公園に指定されています。
 1835年、イギリス人チャールズ・ダーウィンはこの自然の「進化の実験室」ともいえるガラパゴス諸島を訪れて進化論を記すきっかけにもなりました。 火山活動でできた島々は一度も大陸とは接した事がないので、多くの生物が大陸とは異なる進化を遂げています。人間のことを捕食者として認識をしていないので、多くの動物が人間を恐れることもなく目の前で見ることができます。ガラパゴス諸島が次世代に残すべき地球の宝物としてどのように守られているのか、その管理手法についてご紹介します。

ガラパゴス観光の発展

 ガラパゴス諸島で商業観光が始まったのは1969年のことです。諸外国からのガラパゴス観光待望論に応えて当時のエクアドルの旅行会社2社が着手したのが最初とされています。 観光船の第一号は「LINA-A(リナA)号」と呼ばれ、現在と同様に宿泊をしながら諸島内を巡ることができる設備を備えていました。船内で宿泊をしながら諸島内を巡る観光スタイルは、広大で宿泊施設がほとんどないガラパゴス諸島を効率良く観光ができるスタンダードモデルとして定着しました。
 当時はまだ秘境と考えられていたガラパゴスにも観光の門戸が開かれたことで、待ちわびた人々が世界中から訪れるようになりました。
 観光統計では、観光元年の翌年にあたる1970年の1年間にガラパゴス諸島を訪れた正式入島者数は4,579名であったと記録されています。ガラパゴスで実践されてきた観光システムは、エコツアーの成功モデル、エコツーリズムの先進モデルとして今では世界の注目を集めていますが、ガラパゴス観光が始まった当時は観光産業を規制する制度はまだ確立していませんでした。自然保護のための管理計画が具体的に施策されたのは1975年のことで、諸島内に国立公園管理事務所が設立された翌年の事です。現在使用されているものは 1984年に発表された基本計画が基礎になっていて、原則は現在も施策当時とほとんど変わらない点が、ガラパゴスの観光モデルが世界のエコツアーの先駆けと評価をされる理由です。

観光システムについて (記載内容は2024年8月現在)

★入島手続きの手順は予告なしに変更されることもあります。最新事情を優先して手続きを済ませてください。


ガラパゴスへ出発
1-1.ガラパゴス入島手続き

 ガラパゴス諸島への訪問者は、本土を離れる前にキト又はグアヤキルの空港でCONSEJO→ABG→国内線搭乗手続きの順でそれぞれのカウンターで必要な手続きを済ませます。

  • CONSEJO(Consejo de Gobierno del Regimen Especial de Galapagos:ガラパゴス特区政府審議会)ブースで入島手続きを済ませ入島管理カードを発行して貰います。

    CONSEJOブースでは一人当たりUS$20(2024年8月現在)を支払って、TCTカード(Tarjeta de Control Transit para ingresar a Galapagos)の登録と発行をしてもらいます。
    CONSEJOの入島手続きの新制度は2008年3月から導入されました。 空港の申請手続きは係員が手作業の為に結構時間を要するので、出発の少なくとも2時間前には空港に到着して手続きをするように案内しています。クルーズに参加する場合は事前にクルーズ会社が代理申請を行なう場合もありますので、費用をクルーズ代金と一緒に先払いして依頼する方が無難です。

  • ABG(Agencia de Regulacion y Control de la Bioseguridad y Cuaratena para Galapagos:ガラパゴス・バイオセキュリティ&検疫監督局)による機内に預ける荷物の検査を済ませます。
  • 国内線搭乗受け付けカウンターで搭乗手続きを済ませます。

    航空会社に預ける荷物はABGの検査を受けなければなりません。検査済みシールの無い荷物を航空会社は預かりません。

グアヤキル空港風景
左からCONSEJO、ABG
搭乗受付カウンターと並んでいる
TCT入島管理カード ABG検疫風景

ガラパゴスに到着
1-2.ガラパゴス入島手続き

★到着前の機内でABGの持ち込み荷物の申告書が配られるので記入を済ませておきましょう。
空の玄関バルトラ空港又は、サンクリストバル空港に到着したら、次の手順で入島手続きを済ませます。

  • CONSEJOカウンターでパスポートと入島管理カードを提出して入島手続きを行います。
  • 入島者手続きは、エクアドル本土を出発前にCONSEJOカウンターで交付された入島カードに必要事項を記入して提出することが義務付けられています。予め飛行機の中で必要事項の記入を済ませて用意しておきましょう。

  • PNG国立公園カウンターで入島料の支払いをします。
  • カウンターでは、入島料が徴収されます。ガラパゴス諸島を訪れる12歳以上の外国籍旅行者は一人当たりUS$200.00(12歳未満はUS$100.00)を支払います。
    現金しか通用しないので、予め用意しておく必要があります。
    ※入島料の経済効果
    入島料の経済効果は大きく、2023年の統計では1年間にガラパゴスを訪れた観光客の総数は329,475人(内訳:外国籍178,605人(約54.2%)、エクアドル国籍150,870人(約45.8%)を数えました。入島料の経済的な貢献度は大きく、2023年の入島料の総額は入島者がすべて大人と仮定すると約1,876万ドル($1=150円換算で約29億868万円)になり、諸島内の4機関に分配されてガラパゴスの継続的保護・保全・管理・整備などを支えています。

  • ガラパゴスに到着するとABGカウンターで持ち込み荷物の申告書を提出して手荷物検査を済ませます。
  • 申告書は機内で配られるか、持ち合わせがない場合は空港で入手して必要事項を記入して提出します。持ち込み規制に抵触する食品、果物や草花の種などは没収されますのでお気をつけください。

バルトラ島空港ロビー風景

バルトラ島空港風景

サンクリストバル島到着風景



ガラパゴスを護るための制度
2.ガラパゴス入島ルール

 ガラパゴスではビジターサイトでの見学ルールが定められています。事前に旅行会社から資料を入手して理解するか、ナチュラリストガイドの説明をよく理解して厳守してください。
 ビジターサイトでは見学ルールを守る事が義務付けられています。主なルールの骨子は、「動物に触らない」「動物を驚かさない」「動物から2m以内には近付かない」「動物の撮影にフラッシュは使わない」「いかなる物(石でも)にも触らない・動かさない」「いかなる物(植物や動物)も持ち込まない」「いかなる物も採集したり持ち出さない」「ビジターサイトでは飲食・喫煙はしない」などが基本的な内容で、見学は楽しんでも自然を壊したり脅かすような事はしないでそのままの状態を保ち保全するためのルールが定められています。

3.ビジター・サイト

 ガラパゴス諸島では上陸のルールと共に、上陸できるビジターサイトが定められています。2024年8月現在、諸島内の陸上には16島の85ヶ所、海洋には17島の91ヶ所のビジターサイトが指定されています。これらのサイトは、国立公園の使用と管理の基本的な設計基準に照らし合わせて常に見直しがなされています。自然の保護・保全のために危惧される事態が発覚したビジターサイトは、入場の一時取りやめ処置を講じて経過を観察してから再開します。ビジターサイト以外の上陸には国立公園局への申請と許可が必要になります。
 陸のビジターサイトでは、見学の為の歩行路(トレイル)が木の杭や並べた石でなどで示されています。動物がトレイルにいる場合を除き、はみ出さないように注意してください。
 海のビジターサイトでは海水浴やシュノーケル、ダイビング、カヤックなどのマリンスポーツが楽しめます。

4.ナチュラリストガイド制度

 諸島内の観光は、ナチュラリストガイドと呼ばれる公認ガイドの同行がなければなりません。観光産業に従事するナチュラリストガイドは、国立公園局が養成し、免許を発行します。仕事は、国立公園局の職員に成り代わり、観光客への説明と監視役を勤めるほか、ビジターサイトの変化や動物の状況などの報告義務も負い、広大な国立公園内のモニタリングと管理の一翼を公園局職員に代わって担うユニークな制度といえます。
ガイドライセンスは養成講座の合格以外に、英語言語能力の条件がある。ライセンスは能力別に次の3段階に分けられています。

  • 専門遺産観光ガイドI: CEFRレベルB1 (注釈参照)以上
  • 専門遺産観光ガイドⅡ: CEFRレベルB2以上とCEFRレベルB1の英語以外の言語能力
  • アドベンチャー専門ガイド: CEFRレベルB2以上+ダイビングマスター有資格者でダイビングアクティビティーがガイドできるレベル。

<注釈>CEFR(Common European Framework of Reference for Languages、ヨーロッパ言語共通参照枠)CEFRの等級はA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれている。

5.見学ルール

 国立公園内は、自然と生物の保護保全のために規制レベルを4段階(厳正保護区域、原始区域、探訪可能区域、特定利用区域) に分けてゾーニングしています。観光の際には、ビジター・サイトによって若干の違いはありますが、通常は一人のナチュラリストガイドが案内できるグループのサイズは上限を16名に制限して一緒に見学をすることにしています。ビジター・サイトには、トレイルと呼ばれる歩行路が定められていて、自然の生態系を壊さないように保全しています。観光時にはトレイル内の歩行が義務付けられています。一般の観光地では、好きな場所で、満足するまで滞在して時間を過ごせますが、ガラパゴスでは制約もあることを事前に知っておきましょう。

6.観光ルール

 諸島内で運航している宿泊施設の伴うクルーズ船のスケジュールは国立公園局の許認可制で、1年毎に更新することになっていて原則的には期間中の変更はできません。この制度は、一部のビジターサイトに入場者が集中しないように管理ができるので自然保護に効果的です。スケジュールは15日間で全島域の異なるビジターサイトを巡る周回プログラムを年間を通じて運航する日程で申請を行います。
 但し、一航海が15日間では長すぎるので3泊、4泊、7泊などのショートプログラムに分割して、スケジュールの途中で観光客の入れ替えができるように工夫を施したプログラムを申請する船会社が多く見られます。ガラパゴスのクルーズ船のスケジュールをこれまでの1週間制から2週間制にした理由は、UNESCOの危機遺産の登録から削除してもらうエクアドルの約束の一つとして各島あたりの年間入場者を減らすために講じた方策です。


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